SGCナレッジ

インドの事業所得を算出する際の税務調整項目とは?

インド所得税法上の事業・専門職所得(Profits and gains of business or profession)の計算は、日本と同様で財務諸表上の利益に税務調整項目の加減算を行います。財務会計上はインド会計基準に基づいて会計記帳を行っていく一方で、税務上はインド所得税法の規定に基づいて事業所得を計算する必要があるためです。

インドの主な税務調整項目

インド所得税法上の事業・専門職所得を計算する際に会計上の利益との調整が必要となる主な税務調整項目は以下の通りになります。

損金不算入
  • インド会社法に基づいて計算された減価償却費
  • ペナルティ額や延滞利息
  • TDSの対象にもかかわらず、TDSの徴収漏れ又は納付漏れがあったインド居住者への支払い費用の30%
  • TDSの対象にもかかわらず、TDSの徴収漏れ又は納付漏れがあったインド非居住者への支払い費用の全額
  • CSRコンプライアンスに係る拠出費用
  • 退職給付引当金や貸倒引当金の繰入額
損金算入
  • インド所得税法に基づいて計算された減価償却費
  • 未消化の減価償却費(Unabsorbed Depreciation)※
  • 実際の支払った退職金額や実際の貸倒損失額
  • 事業開始から5年間のPreliminary expenseの20%

※未消化の減価償却費(Unabsorbed Depreciation)は日本にはない考え方ですが、詳細はこちらをご参照ください。

インドの所得計算開示基準

所得計算開示基準(Income Computation and Disclosure Standards – ICDS)は、事業所得を計算するためのガイドラインです。ICDSもインドの一般に公正妥当と認められた会計原則(Generally Accepted Accounting Principles – GAAP)を構成すると考えられ、事業・専門職所得及びその他の所得を計算するために設定されております(1961年インド所得税法第145条1,2項)(2025年インド所得税法第276条1,2項)。ICFSは下記のICDS1からICDS10までの10つの基準で構成されています。

  • ICDS I : Accounting Policies
  • ICDS II : Valuation of Inventories
  • ICDS III : Construction Contracts
  • ICDS IV : Revenue Recognition
  • ICDS V : Tangible Fixed Assets
  • ICDS VI : Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
  • ICDS VII : Government Grants
  • ICDS VIII : Securities
  • ICDS IX : Borrowing Costs
  • ICDS X : Provisions, Contingent Liabilities & Contingent Assets

ICDSに従うことでインド会計基準に基づいて会計記帳された会計記録と比較して、一部の収益や利益の認識を早めたり、一部の費用の認識が遅れさせたりする調整が必要な場合があります。ただ、基本的にインド会計基準とICDSの方針は一致しており、ICDSは税法上の会計基準と捉えるとわかりやすいかもしれません。ICDSで求めた税法上の当期純利益に、上述のインド所得税法が求める調整を加えて事業所得を計算します。